本日初日! 日本カメラ博物館特別展「暗い箱からデジタルまで 一眼レフカメラ展」リポート

日本カメラ博物館/6月18日(日)まで

一眼レフカメラは、撮影用とファインダー用を兼ねた1つのレンズ(一眼)を備え、そのレンズを通した光を鏡で反射(レフレックス)させてファインダーに導く型式のカメラです。撮影用レンズの画角やピントをファインダーで確認しながら撮影できることから、職業写真家や本格的な撮影を楽しむアマチュアを中心に長い間使用されてきました。

その歴史は古く、写真が発明される以前に画家がデッサンなどに使用していた器具の「カメラ・オブスクラ」は一眼レフ型式でした。19世紀から20世紀前半頃までは箱型の大型木製一眼レフカメラが使用され、1930年代にロールフィルムを使用する金属製の小型精密一眼レフカメラが登場してからは、さまざまな撮影に対応する多用途カメラとして確固たる地位を築き、デジタル時代に至るまで主要機材として映像の記録を支えてきました。

一眼レフカメラは、日本のカメラ産業にも大きな役割を果たしました。日本のカメラメーカー各社は、戦後の1950年代頃から、主軸製品をそれまで目標としていたライカ型の透視ファインダーカメラから、当時は一般撮影に用いられることがあまり多くはなかった一眼レフカメラへと転換しました。これが功を奏し、日本がカメラ大国へと飛躍するきっかけとなり、日本製一眼レフカメラは長きにわたり撮影機材の主役として活躍しました。

ミラーレスカメラやスマートフォンで撮影する機会が増えた現在でも、“一眼レフ”は本格的なカメラの代名詞として語られることがあります。また、一眼レフの光学ファインダーならではの自然な見え方や、ミラーやシャッターが複雑に連動し正確に作動する精密さは、魅力的であり続けています。

この展示では、「一眼レフカメラ」の歴史をひも解くとともに、一眼レフカメラの機構や魅力について 紹介いたします。


(博物館展示案内より)

ここからは本展示の開催を前にプレス内覧会がありましたので、その様子を少しだけご紹介いたします。

今回の特別展は、多種多様なカメラがあるなかで、レフレックスミラーを持つ一眼レフカメラに的を絞った展示となります。その黎明期のものから最新デジタル一眼レフまで、同博物館の収蔵物を一堂に展示しています。なかでも70年代のフィルムMF一眼レフの展示は圧巻で、高度経済成長期における日本のカメラ産業は一眼レフを中心に発展しましたが、そのことをあらためて知ることのできるものです。写真愛好家なら誰でも楽しめる展示となっていますので、ぜひ博物館を訪れてみてはいかがでしょうか。

なお、開催期間中「一眼レフカメラ」を受付で提示し、カメラ名などの記入に協力すると入館料300円が100円割引になるキャンペーンが実施されますので、ぜひお手持ちの一眼レフカメラを携えていくことをオススメします。

それでは今回の特別展で展示されているカメラをチラ見してみましょう。

コンタックス N デジタル(2002年/京セラ)
629万画素のフルサイズイメージセンサーを市販するカメラとして初めて搭載した一眼レフ。コンタックスのデジタル一眼レフはこのモデルが最初で最後となった。

コダック プロフェッショナル デジタルスチルカメラシステムDCS(1991年/イーストマン・コダック)
「ニコンF3」をベースに130万画素CCDを搭載。画像はケーブルで接続された電送装置を兼ねるハードディスクに記録する。

コダック プロフェッショナル デジタルスチルカメラシステムEOS-DCS(1995年/イーストマン・コダック)
イーストマン・コダックとキヤノンが共同で開発および販売を行う。「キヤノンEOS-1N」のボディに20.5×16.4mmの130万画素CCDセンサーを搭載する。

ニコンE2N(1996年/ニコン)
ニコンが富士フイルムと共同開発したデジタルスチルカメラ。130万画素で記録フォーマットにTIFFを備える。最高感度ISO3200を実現。

ミノルタ デジタルカメラ RD-175(1995年/ミノルタ)
38万画素のCCDを3枚使い、画素ずらし式で175万画素の画像を生成したデジタル一眼レフ。PCカード規格のHDDに記録した。

ニコンQV-1000C(1988年/ニコン)
130万画素で2インチフロッピーディスクに記録を行う。高感度と高解像を重視したモノクロ専用機で、新聞社をはじめとする報道関係で使用された。

チノン CE-5AF(1982年/チノン)
専用のAFレンズの装着で、AFフィルム一眼レフとして使用できた。このゴツさ、堪りません。

シグマ マークI(1975年/シグマ)
シグマが最初に送り出したフィルム一眼レフカメラ。レンズマウントはM42で絞り込み測光としていた。

オサノン デジタル750(1976年/ヤシマ光学)
各入力情報をデジタル数値化して制御を行う。露出時間は7セグメントLEDで表示していた。ブランド名やつくられた経緯など謎の多いカメラ。

コシナ ハイライトCSR(1976年/コシナ)
サーボ式の自動露出調整機構を備える絞り優先のフィルム一眼レフ。この当時、後付けの自動露出調整機構は「ニコンF」や「キヤノンF-1」にあったが、このクラスでは珍しい。

アマノ66(1957年/天野特殊機械)
タイムレコーダーを製造する天野特殊機械(現・アマノ)が製造した中判一眼レフ。フォーマットはスクエア。ミラーシャッター式を採用していた(試作機)。

レフレックスビューティ(1954年/太陽堂光機)
横型の6×6判一眼レフ。太陽堂光機のカメラは当時“ビューティ”を名乗るものが多かった。

ライカIIIa(1935年/エルンスト・ライツ)
レンジファインダー機は、近接撮影や望遠レンズを使った撮影では、構造上限界があった。そのような場合はミラーボックスを用い一眼レフ化して使用する必要があった。

マミヤ プリズマット(1957年/マミヤ光機)
マミヤ光機が初めて市販した35mm一眼レフ。シャッター軸とミラーの上下動が連動するという特殊な構造であった。

ずらりと並ぶレンズシャッター機構を採用するフィルム一眼レフ。1950年代から60年代にかけて製造されたものが多く、当時比較的廉価なこともあり人気を博した。

マキノン MK(1981年/マキナ光学)
レンズ交換式フィルム一眼レフとして初めてストロボを内蔵したカメラ。マキノンはレンズメーカーであったが、輸出用としてカメラの製造も行っていた。

展示会場内の様子。企画展のほか常設の展示も行っている。

日本カメラ博物館入口。宝島社の看板が目印。

会場:日本カメラ博物館(東京都千代田区一番町25 JCII一番町ビル B1)
会期:
2023年2月7日(火)〜6月18日 (日)(毎週月曜日休館/祝祭日の場合は開館)
時間:
10時00分から17時00分まで

入館料:一般300円、中学生以下無料、団体割引(10名以上)一般200円
https://www.jcii-cameramuseum.jp

*最新の情報を掲載するよう心がけておりますが、博物館等の都合により会期等が変更になっている場合があります。ホームページなどでご確認のうえお出かけください。

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