『少量生産のため、現状日本の需要がメイン』

意外なことにKANIフィルターのシェアのほとんどは日本であるという。

「KANIフィルターの世界全体における日本での販売比率は95%ほどとなります。コーティングに時間のかかる少量生産対応のため、現状日本の需要でいっぱいというところです。今年に入り、グローバルサイトを作り、割高ですがシンガポールからの発送対応で販売も開始しました。Amazon USAでも販売予定ですが、日本以外の分を製品確保できるかというのが、ネックになってなかなか進みそうにはない」と伊藤社長は語る。

なおKANIフィルターの企画や開発は、現在ほぼ日本で行っている。角形フィルターのパッケージなど日本の写真家の写真が使われていることからも、それらは容易に察せられるものだ。そしてメンテナンスのし易さや補償もKANIフィルターの特徴だ。

「指紋など付着してもレンズクロスで拭けばKANIフィルターは大丈夫です。繰り返し施されたコーティングにより拭きキズが付いてしまうことはありません。もちろん拭く前にブロアなどでホコリは吹き飛ばしていただくようにお願いいたします。補償につきましては、角形フィルターの場合、落として割れてしまった場合など特別価格にて交換販売いたします」と伊藤社長。これまでフィルターの補償など聞いたことがなかったので、そのシステムは新鮮である。

コンシューマーへのサービスはそれだけではない。ユーザーの作品によるフォトコンテストを毎年開始し、全国8ヶ所でその写真展を開催。さらに写真集も制作するなど、売って終わりではないのである。

「フォトコンテストの写真展については、昨年は東京のほか福岡、札幌、名古屋、京都など8ヶ所で開催しました。写真展では入賞作品のほかにプロの作品も展示するほか、KANIフィルターに興味を持たれた方などを対象にセミナーなども開催しました。もちろん写真展で展示した写真は、写真展が終わりましたら、使用したフレームとともに入賞者に差し上げています。写真集もその記録としてつくっていますが、こちらも喜ばれています」と伊藤社長。KANIフィルターの人気の要因は製品のバリエーションや品質だけではないのである。

「CP+2023」でのKANIフィルターブースの様子

KANIフィルターブランドのカメラバッグとグローブ

『KANIフィルターを積極的に作品作りに活かしてほしい』

2023年は、念願のCP+にもKANIフィルターとしてブースを出し、さらに勢いづくロカユニバーサルデザイン。同社は現在、KANIフィルターのほかに三脚のLeofoto、カメラバッグのShimodaなどの販売代理店も行っており、写真愛好家にとって今や欠かすことのできない企業となっている。最後に伊藤社長は次のように話してくれた。

「今後も積極的に本当に使えるアイテム、ユーザーサイドに立ったアイテムを紹介していきたいと考えています。また、製品に対する愛情は、うちのスタッフはすごく持っていますので、メンテナンスやサポート、そして何かあった時の保証もしっかりやっております。製品を熟知したスタッフによる製品紹介、サポート、フォトコン、メンテナンス対応、撮影会まで責任を持って行うことで、皆様の写真ライフに少しでもお役に立てる存在になれればと思い、日々取り組んでおります」

【了】

ロカユニバーサルデザイン株式会社
https://www.loca.design

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