Newcomer「Tokina SZ 33mm F1.2 MF」

Tokina(トキナー)からF1.2大口径標準マニュアルレンズが登場! 

Text&Photo:ホトグラ。編集部

富士フイルムX-E4に装着したTokina SZ 33mm F1.2 MF。マウントは富士フイルムXのほかソニーEも用意されています。ケンコー・トキナーの直販サイトでの販売価格は税込5万8,300円(受注生産)。

APS-Cフォーマットに最適化されたTokina(トキナー)「SZ 33mm F1.2 MF」が先週末の6月17日発売が開始されました。大口径開放F1.2、総金属製の重厚な鏡筒、極めて滑らかに動くフォーカスリングと絞りリング、マニュアルフォーカスオンリーなどなどいわゆる“尖った”仕様であるとともに、受注生産とマニアックな写真愛好家に強く訴求するレンズに仕上がっています。今回発売を前に本レンズで撮影する機会が得られましたので、その写りを紹介したいと思います。

なんと言っても驚かされるのが描写です。マニュアルフォーカスのみとし、絞りリングは最近のレンズとしては珍しく絞り値が等間隔に並んでないなどちょっと古めかしく思える部分のあるレンズですが、絞り開放から解像感およびコントラストとも不足を感じることがないうえに、画面周辺部までしっかりと結像しています。見た目とは裏腹に現代的な写りで、それはハイエンドクラスの最新AFレンズと互角と述べてよいものです。レンズ構成図は今のところ公開されていませんし、非球面レンズなどの使用についても明かされていませんが、7群9枚の光学系はちょっと気になります。

圧倒的な滑らかさを誇るフォーカスリングと絞りリング。絞りの設定の向きはatx-mシリーズなどと逆方向になっています。*写真の個体はサンプルモデルのため最短撮影距離が0.4mとなっていますが、市販されるモデルは0.5mとなります。

操作感についても言及しないわけにはいきません。ローレット加工のされたフォーカスリングはトルクのムラなど無く、どこまでも滑らか。フォーカシングの楽しさをあらためて教えてくれます。絞りリングについても同様で、クリックこそ備わってないものの上々の操作感。前述のように絞り値が等間隔に並んでいませんが、それはそれでこのレンズのアイデンティティのように思えますし、実際使った限りにおいても操作や設定に支障をきたすようなこともありません。さらに総金属製の重厚で精度の高いつくりの鏡筒は持つ喜びを抱かせるもの。それゆえ605gという重さも気になるようなものではなく、むしろイイ写真が撮れる予感さえしてしまいます。

マウントから見た状態となります。後玉の大きさがよく分かります。電子接点は備えていません。

画角は35mm判換算で50mm相当となります。常用レンズとして様々なシーンで楽しめることに加え、大口径であることを生かしポートレート撮影などでも重宝するように思えます。同社オンラインショップでは、税込5万8,300円と比較的リーズナブルな価格設定がされていますが、受注生産としていることから、本レンズはそう多く市場に出回らないことが予想されます。今後語り継がれるレンズとなる可能性も高いように思われますので、興味ある写真愛好家の方は早めの購入がよそさそうです。

(了)

同梱するフードを装着した状態。もちろん金属製で、重厚で精度の高いつくりが魅力です。

【ポートレート】どうしても本レンズで撮りたかったのがポートレート。フォトグラファーLaskeyさんの指導する撮影会にお邪魔し1カット撮影させていただきました。絞りはF2.8。ストロボを1灯使用しています。モデル:LUNA(Instagram:https://www.instagram.com/r8r1r1r/
X-E4・Tokina SZ 33mm F1.2 MF・マニュアル(絞りF2.8・1/180秒)・ISO160・WBオート・RAW(Photoshopにてモノクロ変換およびレタッチを行なっている)

【春霞】ここからは六郷橋から羽田まで多摩川に沿って歩いたときの写真で展開します。丁寧にピントを合わせて、シャッターを切りました。モニュメントの細かな部分までしっかりと描写しています。
X-E4・Tokina SZ 33mm F1.2 MF・絞り優先AE(絞りF5.6・1/1250秒)・ISO160・WBオート・JPEG

【春霞】多摩川の土手を歩いていると綺麗に整備されたグラウンドに遭遇。思わずカメラを向けました。
X-E4・Tokina SZ 33mm F1.2 MF・絞り優先AE(絞りF8.0・1/750秒)・ISO160・WBオート・JPEG

【春霞】トライアルはちょうど桜の花の咲く季節でした。クリーム色のマンションを背景に、桜の薄いピンク色と土手の緑色で画面を構成してみました。
X-E4・Tokina SZ 33mm F1.2 MF・絞り優先AE(絞りF4.0・1600秒)・ISO160・WBオート・JPEG

【春霞】絞りはF1.4となります。合焦面の解像感は高く、背景のボケもナチュラルに感じられます。周辺減光も気にならないレベルです。
X-E4・Tokina SZ 33mm F1.2 MF・絞り優先AE(絞りF1.4・2500秒)・ISO160・WBオート・JPEG

【春霞】他の作例も同様ですが、今回の撮影ではEVFの拡大機能を使いピント合わせています。被写体とじっくりと対峙できるレンズと言えます。
X-E4・Tokina SZ 33mm F1.2 MF・絞り優先AE(絞りF2.0・2700秒)・ISO160・WBオート・JPEG

【春霞】最短撮影距離は0.5m。描写変動の少ない全群繰り出し式のフォーカシングによりどの撮影距離でも良好な写りを誇ります。
X-E4・Tokina SZ 33mm F1.2 MF・絞り優先AE(絞りF4.0・1000秒)・ISO160・WBオート・JPEG

【春霞】弱い逆光での撮影となります。ゴーストやフレアの発生はなく、クリアな写りです。解像感も高く、鮮明な写りが得られました。
X-E4・Tokina SZ 33mm F1.2 MF・絞り優先AE(絞りF5.6・900秒)・ISO160・WBオート・JPEG

<仕様表>

Tokina SZ 33mm F1.2 MF
焦点距離33mm
レンズ構成7群9枚
画角48°
対応撮像画面サイズAPS-C
絞り羽根枚数11枚
最小絞り値F16
フォーカス方式全群繰出式/マニュアルフォーカス
最短撮影距離0.5m
最大撮影倍率1:13
対応マウント富士フイルムX、ソニーE
フィルターサイズφ62mm
最大径×長さφ71mm×87.5mm(富士フィルムX)
質量605g

ケンコー・トキナー
https://www.kenko-tokina.co.jp

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