聞き手:大浦タケシ
Photo:編集部
サクラスリングは、カメラ用のほかスマートフォン用のネックストラップ、手首に付けるハンドストラップ、ショルダーにもネックストラップにもなるスカーフストラップなど展開
カメラを自分好みに仕立て上げるのは難しい。クルマやオートバイであれば、タイヤやホイールなど足回りを変えたり、マフラーを交換したりする。究極としてエンジンの載せ替えも可能だ。しかしながらカメラにはそのような余地などない。自分らしくカスタマイズできるのは、外観を整えるものに限られると述べてよく、カメラストラップやバッテリーグリップ、アクセサリーシューカバー、ボディケースぐらいだ。
ただし、カメラストラップに関しては純正品も含め大小様々なメーカーから販売されていることからも分かるとおり、手頃で誰でも試しやすいカスタマイズと言えるだろう。そのような状況のなか独自のスタイルで展開し、着実にファン層を広げているカメラストラップがある。それが「サクラカメラスリング」である。今回、株式会社サクラスリングプロジェクト代表取締役社長、杉山さくらさんにサクラカメラスリング誕生から現在、そして未来についてお話しを伺った。
株式会社サクラスリングプロジェクト代表取締役社長、杉山さくらさん
『20代は子育てで精一杯。30歳を過ぎてから憶えたカメラ・写真』
杉山さんがカメラストラップの製造に行き着くまでに多くのストーリーがあったことを、まず紹介したい。何はともあれカメラ・写真との出会いである。実は写真を始めたのは年齢的に遅く、30歳を過ぎてからだ。
「20代は子育てで精一杯でした。23歳で最初の子を、25歳で2番目を、28歳で3番目を産みました。だから20代はずっと妊娠していて、ずっと子育て。自分のことは後回しでした」と杉山さんは語る。しかし、カメラや写真に触れるきっかけとなったのは、その三人のお子さんを通してである。通う保育園の父兄のなかに写真家がおり、PTAの集まりなどで次第に話を交わすようになる。やがて写真を見せてくれたり、写真の魅力を教えてくれるようになったのである。しかしながら最初写真難しいものと杉山さんは考えていた。ある日、その写真家からアドバイスをもらう。
『写真は上手に撮ろうと思えば上手に撮りたいっていう気持ちが写真に写るし、カッコよく撮りたいと思ったらカッコよく撮りたいって気持ちが写るものなので、素直に自分のありのままで写真を撮るかがすごく大切。しかも写真は何でも写るから自分のことも改めて知ることができる』と。この言葉で杉山さんは本格的に写真を始めるようになった。ちなみに、このアドバイスをしてくれたPTA繋がりの写真家とは、安達ロベルトさんである。
写真をやることにした杉山さんは、実家のお父様にカメラの相談をする。実は杉山さんのお父様は大のカメラ・写真好き。古くから地元の写真クラブに入り、熱心に活動を楽しまれているほどである。そのような環境であれば、杉山さんも年齢的に早いうちに写真に興味を持ちそうだが、それには理由が。高校生時代、お父様から撮影した写真を選んでほしいと頼まれることが度々あったのだが、結果は毎度お父様が納得してくれるものではなかったという。それで杉山さんは「私はきっと感覚的に写真に向いてないんだ」と思うようになり、写真と距離を置いていたのである。“写真は難しい”と思うようになったのもそのことが大きく影響している。
写真をはじめたころの杉山さん。三人のお子さまと(サクラスリングプロジェクト提供)