第2回:Super-Takumar 200mmF4を味わう
Text&Photo:ジャンキー坂井
都内某中古カメラ店のジャンクボックスに転がっていた「Super-Takumar 200mmF4」。500円のプライスラベルが泣かせる
写友(笑)との話からやお店見て回ったりして気付かされたんだけど、ジャンクレンズの人気は、やはりマニュアルフォーカスの単焦点レンズ。理由は自分でバラしやすく、整備できてしまうからだ。なかでも標準レンズやその前後の焦点距離を持つレンズは、整備できてしまえば、画角から日常的に使えちゃうので特に人気が高いように思える。
一方単焦点レンズでも望遠は、人気としてちょっとイマイチな感じ。被写体を選ぶことが多いし、その大きさから持て余してしまうこともある。そして、もひとつの理由があるけれどそれは後ほど。
ちなみに自分も基本的には単焦点の望遠レンズやズームレンズのジャンクに手を出すことは少ない。でも、庶民の悲しい性(さが)か、価格によっては“逝って”しまうのである。
今回、見つけたジャンクレンズは、M42マウントのペンタックス「Super-Takumar 200mmF4」。都内某中古カメラ店のジャンク箱のなかに転がっていたもので、お値段は税込500エーン!
お店によってはジャンクでも完動品かと思うような値付けしているところもあるので、この価格は魅力的。で、手にとって状態を見ると、内部にカビやホコリがちょこっとあるけど、ヘリコイドや絞り環の動きは悪くない。鏡筒自体にも大きなキズなどなく、ソコソコいい。金属製の手にずしりとくる重さは、タクマーレンズの皇帝とでも言うべき威風堂々とした感じである。これタマを清掃すればイケるかもと思い購入した。
鏡筒をバラすには、まずフォーカスリングから先の鏡筒を手で回して外す。プライスラベルの貼ってある部分だ
インナーのユニットも手で回して外れることが多いが、この個体は固かったのでベルトレンチを使用した
ちなみに「Super-Takumar 200mmF4」をネットでいろいろ調べてみると1965年から1971年までつくられたものらしい。製造本数は分からないけど、比較的出会う機会が多いので、それなりに出たのではないかと想像する。
当時望遠レンズと言うと焦点距離135mmが一般的だったので、それよりも被写体をより大きく写したいと思うペンタックスユーザーが主に買っていったんだろう。参考までに、レンズ構成は5群5枚、シングルコートである。
自宅に戻ると、早速クリーニング。レンズをバラして、アルコールと秘密の何かを混ぜた特性のクリーニング液で一枚一枚丁寧に拭いていく。カビやクモリ、ホコリなどで汚れていたレンズがスカっと抜けた感じになるのはえも言われぬ達成感。気持ちイイ!
ところが、前玉(正確には前から2番目のレンズ)を固定しているネジが固着しており外せない。そのネジにオイルを数滴垂らし、数時間置いた後に外そうとしたが、やはり外せない。あまり無理すると切り欠きを舐めそうだったので(実は半分舐めた)、ついに諦めることに。ちょっと消化不良だけど、シャーない。それでも、組み直してみるとパッと見スッキリとした光学系となり、ヤフオクで売れそうなぐらいになった。
後玉はカニ目レンチで外す。レンチで鏡筒内部を傷つけてしまうこともあるので、丁寧に丁寧に
バラしたレンズを並べたところ。2枚のレンズで構成するレンズ先端のユニット(写真では一番右端)がバラせず、諦めた
で、さっそく撮影してみたけど、ピント合わせが難しい。フィルムだったら、そこそこあってればとなるけれど、パソコンで簡単に拡大して見れちゃうデジタルだとそうはいかない。EVF画面の拡大機能を使ってピント合わせをするんだけど、いかせん手振れ補正のついてないEOS RPでは画面がぐらぐら動いてどうにもこうにも。そこんとこが望遠レンズのジャンクがいまひとつ人気ナッシングな理由のひとつのように思えてしまう。
もっとも、EOS Rシリーズでも上位モデルや、最近のα7シリーズであればボディ内手振れ補正が付いているので、かなり改善されるようだけど。やはりα7シリーズのどれかを買うべきか。マウントアダプターも充実していることだし。
感度を上げ、できるだけ高速のシャッターで切るようにして得られた写りは、思いのほか、イイ感じ。絞り開放だと少しユルユルで締まりの足りない感じだけど、ちょっと絞るとまあまあに。ボケ味も単焦点レンズらしく悪くない。三脚使ったら、より真価が発揮できそうだとか、ポートレートを撮ったらどうなるなどと思うこと暫し。
だけど、今回は終始手持ちで、予算のない企画ゆえに身近な風景のみに。先に書いたようにピント合わせは難儀するし、レンズに合った被写体を探す、ある意味本末転倒のような撮影にもちょっと疲れてしまったので、今回はここでお終い。教訓、望遠のジャンクレンズはある意味手強い。
いつものとおり編集部が撮ってくれた写真。レンズは見た目以上に重かった。さらにマウントアダプターを装着するご覧の長さに。手軽にオールドレンズを楽しむというにはちょっと程遠いか
うーんと拡大すると青い色付きが見受けられるけど、カメラやスマホの画面で見る分には気になることはない感じ。ちょいピン甘め?
EOS RP・Super-Takumar 200mmF4・絞りF8・1/640秒・ISO100・WBオート・JPEG
置きピンで世田谷線を写してみた。ピントもそうだけど、手ぶれが怖くて、なるべく速いシャッターになるように露出を決めた。
EOS RP・Super-Takumar 200mmF4・絞りF5.6・1/800秒・ISO100・WBオート・JPEG
ファインダーの画像を拡大すると手ぶれによる画面の動きが大きくなりピント合わせが困難に。それでも何とかかんとかピントを合わせることができた。手振れ補正の付いているミラーレス買わなくっちゃ。
EOS RP・Super-Takumar 200mmF4・絞りF56・1/1250秒・ISO1250・WBオート・JPEG
フレアが発生するかなと思うシーンだったけど、結果は無問題。絞りは開放。本来眠い(柔らかい?)写りになるわけだが、このようなシーンではちょうどよいコントラストに。
EOS RP・Super-Takumar 200mmF4・絞りF4・1/100秒・ISO6400・WBオート・JPEG
ジャンキー坂井(じゃんきーさかい)
ジャンクのカメラやレンズをこよなく愛する某団体職員。モットーはできるだけ安く手に入れ、できるだけ使えるようにし、できるだけ使うこと。そのためジャンクを扱うカメラショップは日夜チェックを欠かさない。もっかライバルはテンバイヤー。
カメラ・レンズ等を分解、修理、清掃、組立て等を行うときは自己責任でお願いいたします。それらの作業等において発生するトラブルや不具合、故障等に関しまして、ホトグラ。編集部およびジャンキー坂井は一切の責任を負いません。