JCIIフォトサロン/12月25日(日)まで
©️本間鉄雄
本間鉄雄は、1920~1980年代に自然の情趣や都会風景を作品に結実して、『カメラ』『芸術写真研究』『光大』などに発表し、渡辺淳、高山正隆、塩谷定好らとともに活躍した写真家です。今回は、初期から晩年までの作品118点(全てモノクロ・オリジナルプリント)をご覧いただきます。
本間は、旧制中学卒業後に胸部疾患のため転地療養をしていた頃に写真と出会い、『カメラ』月例などに作品を寄せるようになりました。写真メーカーに就職後も中島謙吉が主宰する『芸術写真研究』に寄稿を重ねましたが、1945年にメーカーから満洲へ派遣された直後に終戦、抑留となり、現地で写真技師の指導に携わりました。1953年の引揚げ後はメーカー子会社で宣伝業務に携わる傍ら作品制作を再開し、『芸術写真研究』、その後継誌である『光大』に作品を寄せ続けています。
本展でご覧いただくのは、若き日に自然の情趣をソフトフォーカスで描き出した初期作品、メーカー勤務の1930年代に都会を題材にしたモダニズム作品、引揚げ後に世相を写したリアリズム作品、合成やトーンラインなど広告制作のために磨いた技法による作品、そして、野菜や花を光とともに卓上で構成した晩年の静物作品などで、全てオリジナルプリントです。絵画的ピクトリアリズムから出発して写真表現を求め続けた彼の作品それぞれは、独自の視点と技法によって被写体が内包する美を表現しています。作品群通じて、生涯を写真とともに過ごした彼の人生が浮かび上がります。
(写真展案内より)
展示点数:118点(全作品モノクロ ※第一会場:JCIIフォトサロン 第二会場:JCIIクラブ25)
※本展示はJCIIフォトサロンのほか、同じビル内にあるJCIIクラブ25を使用した展示となります。
(作家プロフィール)
本間 鉄雄(ほんま かねお)
1908年、大阪府堺市に生まれる。1932年に江崎写真館(東京・浅草)へ入門し、1935年に小西六本店(現・コニカミノルタ)に入社して製品性能試験や宣伝用写真製作に携わる。趣味写真では、1920年代には“山田鉄雄”名で『カメラ』『フォトタイムス』『芸術写真研究』へ、1935年以降は“本間鉄雄”名で『写真月報』『芸術写真研究』などへ作品を寄せる。1939年に東京写真専門学校(現・東京工芸大学)へ助教授として出向。1944年には小西六に戻って淀橋工場天然色実験室にてカラー写真の製作技術研究に従事。1945年にカラースライド現像指導のため満洲映画協会(満洲・長春)へ派遣され、終戦後は東北電影制片廠で勤務。1953年の集団帰国で引揚げて株式会社六和(後のチェリー商事)に入社し、1964年の定年退職まで勤務。傍ら、『芸術写真研究』に作品や撮影歳時記などを寄せ、1972年に同誌後継の『光大』創刊後は同人世話役となって晩年まで作品を寄せる。1990年に逝去。
主な展覧会:ベス単作画展(小西六ギャラリー、1938年)、第一回現代ベス単派写真展(ペンタックスギャラリー、1973年)、本間鉄雄 作品:1930‐84年(PHOTO GALLERY INTERNATIONAL、1984年)ほか多数。
著書:『営業写真の現像と焼付』(光大社、1938年)、『コダックウォーク入門』(光大社、1939年)、『シンクロ初歩の初歩』(アミコ出版、1956年)、『35ミリ撮影―初歩の初歩』(アミコ出版、1957年)。
写真展に、「海からの便り」(新宿ニコンサロン、1983 年)、「砂漠」(新宿ニコンサロン、1989 年)、「Fare Pacifica」 (銀座ニコンサロン、1997 年)、「流るる」(川場村ギャラリー蔵、2000 年)、「川場村、生命の水が巡る村」(世田谷 美術館、2003 年)、「BULA! FIJI」(富士フィルムフォトサロン東京、2007 年)、「南へゆるり、南房総と太平洋」(枇 杷クラブギャラリー、2010 年)、「長崎、光の道」(教文館ギャラリー、2017 年)、「海と人と鯨と」3 ヶ所同時開催(白 浜海洋美術館、わだぱん、Boccs、2021 年)、他、多数
©️本間鉄雄
会場:JCIIフォトサロン(東京都千代田区一番町25 JCII一番町ビル)
開催期間:2022年11月29日(火)から12月25日(日)まで/入場無料
開催時間:10時00分から17時00分まで(月曜日休館/祝祭日の場合は開館)
*最新の情報を掲載するよう心がけておりますが、ギャラリー等の都合により会期等が変更になっている場合があります。ギャラリーホームページなどでご確認のうえお出かけください。