翌年の2015年2月にパシフィコ横浜にて「CP+2015」が開催されたが、なんとハッセルブラッドとプロフォトの合同ブースに立つことに。その経緯と言えば、いっしょに写真習っていたときの友人がカヌーを楽しまれており、そのお仲間の一人に当時ハッセル日本法人の社長がいたからである。ブースではチラシを配ったり、実演を行ったりしたのだが、それがインターネットメディアなどで紹介された。
「あるプロショップのブースにいたら、おじさんが『違うんだよ。こうじゃなくてさあもっと布みたいになっててさ』って係員さんに突っかかっていて、『俺、何かの記事で見たんだよ』って言ってるんです。これ私のスリングのことかなと思って、おじさんがブースから出てきたところを見計らって『すいません、もしかしてこれですか?』ってスリング見せたら『これだよ、これ! これはすごい発明だよ』って言って下さったんです」と話す。
このハプニングが自信を深めるきっかけになったことは言うまでもない。なお、そのCP+には、ご主人様も立ち寄られ、会場の様子や頑張っている杉山さんの姿をご覧になられる。そして、ご主人様から労いの言葉をもらい、初めて自分のやっていることを認めてもらった感じがしたと言う。
2015年2月パシフィコ横浜された「CP+2015」での杉山さん(サクラスリングプロジェクト提供)
『守り続けていけるブランドに育てたい』
その年の9月10日、サクラスリングがグッドデザイン賞を受賞する。クルマやカメラなど進化の勢いのあるものは受賞しやすいが、文具や傘などすでに機能が決まりきっているものは受賞しにくいと言われている。もちろんカメラストラップもだ。
「受賞できてよかったと心底思いました。目の前でいろんな事が起きていって、それにとんとんとんと乗っていくような感じでした。だからここで初めて形になったなと思いました。何より、私は翌日の9月11日が35歳の誕生日でしたので、主人との約束を守ることができました」と当時を振り返る。
2015年のグッドデザイン賞受賞式にて(サクラスリングプロジェクト提供)
その後の快進撃の詳細についてはあらためて取り上げる必要もないだろう。CP+など写真・カメラ関連の展示会やイベント、撮影会などサクラスリングを愛用するユーザーを見かける機会も多く、大型カメラ量販店やデパートの店頭の一角はサクラスリングの指定席となっている。今やスリングのトレンドのひとつと述べてよい。
現在のレギュラーアイテムは、カメラスリングのほかコンパクトカメラやスマートフォンなどに適したネックストラップ、同じく手首に付けるハンドストラップ、ショルダーにもネックストラップにもなるスカーフストラップなど。そのほかにマスクやショッピングバッグなども展開している。最後にサクラスリングの今後を杉山さんにお聞きした。
「私にとってサクラスリングは4人目の子供みたいなもの。このプロダクトを未来永劫しっかり続いていくものになるよう、いろんな状況がきてもちゃんと守り続けていけるブランドに育てたいと思っています。そして応援してくださるお客さま、ユーザーさまがずっと快適に楽しく喜んでもらえるものを作り続けていかなければならないと思っていますし、愛用してくださるユーザーの方々に今後もさまざまな形で寄り添っていければと考えています」
【了】
株式会社サクラスリングプロジェクト
https://sakurasling.com
《ホトグラ。インタビューシリーズ第一回》
株式会社ワイドトレード上田晃央社長に訊く「 Leofoto三脚、強さの秘密」
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